『殲滅特区の静寂』
我々の世界で発生する大地震や大型台風とおそらく同じ程度に巨大怪獣が襲来する設定のミステリー小説。
日本が最初に怪獣災害に見舞われたのが1954年。映画『ゴジラ』の公開年だなぁ、とすぐに思い浮かぶ読者は、怪獣作品への著者の敬愛を読み取って楽しく読めることと思う。
短編が3本収録されていて、いずれもシリアスな雰囲気の作品。怪獣描写の緊迫感は、まさに怪獣映画を見ているかのようだった。
ただ、発生した殺人事件を解決するっていうミステリー部分と来襲する怪獣の設定と主人公のお仕事描写と、もっと絡み合っても良かったというか、それぞれがバラバラな感じが否めないというか...どっちつかずな印象が残ったな。
ちなみに、ぼくは紙の書籍で読んだんだけど、怪獣好きが多そうな50〜60代の年齢層の眼に優しい大きめフォントでした。あと表紙のイラストがかっこいいです。