母(80)と僕の読書の記録とその周辺

母は小説が好き、僕はノンフィクションが好き

2023-01-01から1年間の記事一覧

母は『審議官』を読んだ

今年の1月に刊行された隠蔽捜査シリーズの最新刊『審議官』を図書館で予約していたが、ようやく順番が回ってきた。 この記事のタイトルには「読んだ」と書いてしまったが、正確には今まさに読んでいる最中だ。 『審議官』はシリーズ9.5にあたる短編集。一つ…

母は『遅咲きの梅』『流星雨』を読んだ

作家の津村節子さんについてのぼくの知識は、作家の吉村昭さんの配偶者であることぐらいしか知らず、人となりについても吉村さんのエッセイからしか伺うことはなかった。 大活字本シリーズに津村さんの作品があり、まずは『遅咲きの梅』を手に取ってみた。 …

『灼熱』

灼熱 作者:葉真中 顕 新潮社 Amazon しばらく前にTwitterで話題になっていたので手に取った一冊。 本の厚さに尻込みしていたけれど、とくに中盤以降の展開に目が離せなくなって通勤電車でも読んでしまった! 傑作! 物語は、戦前ブラジルへ移住した日本人た…

『お前の罪を自白しろ』

いつか読むリストに入れておいたが、映画化すると知ったのでこれを機会に読みました。 著者の真保裕一には一時期ハマり、初期の『ホワイトアウト』は読んでいて泣けてしまったし、『奪取』は土地勘のある地名が登場したので興奮しながら読み、『栄光なき凱旋…

『原節子の真実』

表紙の写真を見ただけで、母は「原節子!」と分かったのだから、当時はずいぶん活躍されたのだろうなぁ。ぼくにとってはお名前を知る程度だったけれど。 そのお名前さえ、「引退後は文字通り表に出ることのない謎めいた女優」として覚えていたのだ。隠れてい…

『あちらにいる鬼』

女性の心情描写が上手いなぁと唸りながら読みました。細やかなだけでなくて、文章でのごまかしもない。 例えば、人間関係について考えるとき、ぼくなんかは「もういいかぁ、面倒くさー」なんて、途中で考えるのをやめちゃうんだけど、この物語のみはると笙子…

母は『クローズアップ』を読んだ

母が読むために図書館で借りた本を、ぼくが図書館で返すこともあるし、市内に設置された返却用ポストに母が行くこともある。 先日、ぼくが図書館に行ってくると母に伝えると、「何か読むもの借りてきて」と言う。 母がお気に入りの今野敏作品を何か借りよう…

『殲滅特区の静寂』

我々の世界で発生する大地震や大型台風とおそらく同じ程度に巨大怪獣が襲来する設定のミステリー小説。 日本が最初に怪獣災害に見舞われたのが1954年。映画『ゴジラ』の公開年だなぁ、とすぐに思い浮かぶ読者は、怪獣作品への著者の敬愛を読み取って楽しく読…

母は『北条政子』を読んだ

母は今野敏の『隠蔽捜査』シリーズを順番に読んでいたが、『清明』まで読み終えたところで、図書館の予約まちに入ってしまった。『探花』が読めるのは2,3ヶ月先になりそうだ。 新聞に掲載された永井路子さんの追悼記事を読んで、母が図書館から借りてくれ…

母は『自白』を読んだ

そういえば、母は先月81歳の誕生日を迎えた。 近くのイタリアンレストランで家族で食事をし、いい雰囲気だったけれど、ぼくはコップを倒して飲み物をこぼし、服を濡らすというドジをした。 ブログタイトルは相変わらず母(80)でいこうと思います。 目下、今…

『女帝 小池百合子』

ぼくが年末年始に読んでいたのは、石井妙子『女帝 小池百合子』。 女帝 小池百合子 (文春e-book) 作者:石井 妙子 文藝春秋 Amazon 同じ著者の『魂を撮ろう』が面白かったこともあるので読んでみたけど、著書や事実から追いかけるオーソドックスなノンフィク…

母は今野敏にハマっている

2023年になりました。 ブログを書くのにずいぶん間が空いてしまいましたが、のんびりやっていこうと思います。今年も良い年になりますように! さて、最近の母は、今野敏にハマっています。 母は最初に『確証』を読んで、「読み終わったあと、爽やかな感じが…