母(80)と僕の読書の記録とその周辺

母は小説が好き、僕はノンフィクションが好き

読書の記録

母は『審議官』を読んだ

今年の1月に刊行された隠蔽捜査シリーズの最新刊『審議官』を図書館で予約していたが、ようやく順番が回ってきた。 この記事のタイトルには「読んだ」と書いてしまったが、正確には今まさに読んでいる最中だ。 『審議官』はシリーズ9.5にあたる短編集。一つ…

母は『遅咲きの梅』『流星雨』を読んだ

作家の津村節子さんについてのぼくの知識は、作家の吉村昭さんの配偶者であることぐらいしか知らず、人となりについても吉村さんのエッセイからしか伺うことはなかった。 大活字本シリーズに津村さんの作品があり、まずは『遅咲きの梅』を手に取ってみた。 …

『灼熱』

灼熱 作者:葉真中 顕 新潮社 Amazon しばらく前にTwitterで話題になっていたので手に取った一冊。 本の厚さに尻込みしていたけれど、とくに中盤以降の展開に目が離せなくなって通勤電車でも読んでしまった! 傑作! 物語は、戦前ブラジルへ移住した日本人た…

『原節子の真実』

表紙の写真を見ただけで、母は「原節子!」と分かったのだから、当時はずいぶん活躍されたのだろうなぁ。ぼくにとってはお名前を知る程度だったけれど。 そのお名前さえ、「引退後は文字通り表に出ることのない謎めいた女優」として覚えていたのだ。隠れてい…

『あちらにいる鬼』

女性の心情描写が上手いなぁと唸りながら読みました。細やかなだけでなくて、文章でのごまかしもない。 例えば、人間関係について考えるとき、ぼくなんかは「もういいかぁ、面倒くさー」なんて、途中で考えるのをやめちゃうんだけど、この物語のみはると笙子…

母は『クローズアップ』を読んだ

母が読むために図書館で借りた本を、ぼくが図書館で返すこともあるし、市内に設置された返却用ポストに母が行くこともある。 先日、ぼくが図書館に行ってくると母に伝えると、「何か読むもの借りてきて」と言う。 母がお気に入りの今野敏作品を何か借りよう…

『殲滅特区の静寂』

我々の世界で発生する大地震や大型台風とおそらく同じ程度に巨大怪獣が襲来する設定のミステリー小説。 日本が最初に怪獣災害に見舞われたのが1954年。映画『ゴジラ』の公開年だなぁ、とすぐに思い浮かぶ読者は、怪獣作品への著者の敬愛を読み取って楽しく読…

母は『北条政子』を読んだ

母は今野敏の『隠蔽捜査』シリーズを順番に読んでいたが、『清明』まで読み終えたところで、図書館の予約まちに入ってしまった。『探花』が読めるのは2,3ヶ月先になりそうだ。 新聞に掲載された永井路子さんの追悼記事を読んで、母が図書館から借りてくれ…

母は『自白』を読んだ

そういえば、母は先月81歳の誕生日を迎えた。 近くのイタリアンレストランで家族で食事をし、いい雰囲気だったけれど、ぼくはコップを倒して飲み物をこぼし、服を濡らすというドジをした。 ブログタイトルは相変わらず母(80)でいこうと思います。 目下、今…

『女帝 小池百合子』

ぼくが年末年始に読んでいたのは、石井妙子『女帝 小池百合子』。 女帝 小池百合子 (文春e-book) 作者:石井 妙子 文藝春秋 Amazon 同じ著者の『魂を撮ろう』が面白かったこともあるので読んでみたけど、著書や事実から追いかけるオーソドックスなノンフィク…

母は今野敏にハマっている

2023年になりました。 ブログを書くのにずいぶん間が空いてしまいましたが、のんびりやっていこうと思います。今年も良い年になりますように! さて、最近の母は、今野敏にハマっています。 母は最初に『確証』を読んで、「読み終わったあと、爽やかな感じが…

母は『福袋』を読んだ

図書館の大活字コーナーを眺めていると、角田光代の『福袋』が置いてあったので、母用に手にした。 この本はいつもの埼玉福祉会が発行している大活字本シリーズではなく、ちがう出版社が出している大活字文庫だった。大活字にもいろいろあるんですね。 大活…

母は『舞姫』を読んだ

母は西條奈加の『善人長屋』を読み終えると、森鴎外の『舞姫』が読みたいとリクエストしてきた。 善人長屋(新潮文庫) 作者:西條 奈加 新潮社 Amazon 以前も、泉鏡花の『高野聖』や志賀直哉の『城の崎にて』をリクエストされたのだが、図書館から借りられる…

母は『てのひらの闇』を読んだ

母は『てのひらの闇』も面白かったそうで、あっという間に読み終わった。 ぼくの好きな作家を、母も好きになってくれて嬉しい。 深夜に目が覚めてしまったことがあったそうで、読書していればまた眠たくなるだろうと『てのひらの闇』を手に取ったものの、面…

母は『テロリストのパラソル』を読んだ

図書館から借りてきた大活字本シリーズ『テロリストのパラソル』は1週間ほどで読み終えた母。 なんと読んだ記憶があったというが、ストーリーは覚えてなかったという。 たぶん、ぼくが買った文庫本を読んだのだろうが、大昔に読んだのでおぼえていないのだと…

母は角田光代が好き

母は『八日目の蟬』をたいそう気に入ったらしく、ぼくにも勧めてきた。 どれほど気に入ったかというと、図書館で借りた『八日目の蟬』の栞紐が擦り切れて短くなっていたものだから、自分で紐を縫い足したほどである。 本人は「これからこの本を借りるひとも…

母は『星落ちて、なお』を読んだ

三浦綾子の『海嶺』上下を図書館で借りて読んでいた母でしたが、貸出期限の2週間が過ぎても上巻が読み終えず、さらに2週間延長して上巻を読み終えたので下巻を読むのは諦めたらしい。 ちょうどその頃、澤田瞳子の『星落ちて、なお』を図書館から借りられた。…

『ヒルは木から落ちてこない。』

近年、住宅地に近い低山でヤマビルが大量に発生することが問題になっています。 登山客やハイキング客の皮膚に音もなく吸い付き、満腹になるまで吸血すると落ちていくんだけど、吸われた箇所からは大出血するというおまけ付き。 人間からは嫌われ、たびたび…

『「国境なき医師団」を見に行く』

国境なき医師団の活動内容を広く外部に知ってもらうため、著者が直接海外に足を運び、派遣地の問題とそこで活動する団員の横顔を記した内容。 「国境なき医師団」を見に行く 作者:いとう せいこう 講談社 Amazon 僕は高校生の頃、いとうせいこうの小説が好き…

『トリカゴ』

辻堂ゆめ『トリカゴ』読み終えた。 ミステリー小説の中盤、話が転がっていくところで、深夜にあくびを連発しながらもページを繰る手が止まらなかった。 読んでいてなんだかドラマのノベル化みたいだなーと思ってしまったのは、たぶん会話文が多かったせいも…

『魂を撮ろう』

先週、僕が読んだのは『魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣』。 著者の石井妙子さんのお名前は著書の『原節子の真実』『女帝 小池百合子』で聞き及んでいたものの、読んだのは初めて。 写真家ユージン・スミス、その妻で彼とともに水俣病患者や…

母は『海嶺』を借りた

母が『続・氷点』を読み終え、同じく三浦綾子の『海嶺』を読みたいというので図書館で借りてきた。 『続・氷点』は僕が大学生の頃に読んでそのまま段ボール箱にしまいっぱなしにしていた。それを母が片付けの最中に取り出して読んだ。 僕は『氷点』も読んだ…