母(80)と僕の読書の記録とその周辺

母は小説が好き、僕はノンフィクションが好き

母は『クローズアップ』を読んだ

母が読むために図書館で借りた本を、ぼくが図書館で返すこともあるし、市内に設置された返却用ポストに母が行くこともある。

先日、ぼくが図書館に行ってくると母に伝えると、「何か読むもの借りてきて」と言う。

母がお気に入りの今野敏作品を何か借りようと思ったのだけれど、シリーズのどこまで借りだしたのか分からなくなって、母に電話して訪ねてみた。

「『クローズアップ』まで読んだんだけど、最初に『スクープ』だとかいうやつがあるから借りてきて」

母は、読書の記録をつけているだけでなく、巻末や解説などからシリーズの前後や次に読みたい本をメモしている。こまめだなぁ。

検索機で『スクープ』の改題前『スクープですよ!』が書庫にあるのが分かったので、職員に依頼して出してもらったら、これがノベルス。1ページに二段組は、81歳の母が読むには辛かろうと思い、そのまま返却した。

母には『クローズアップ』の次巻『アンカー』と大活字本の池波正太郎短編集を1冊借りて渡したんだけど、たぶん1週間くらいで読んでしまうだろう。

 

図書館で予約していた『隠蔽捜査9』の順番がもうすぐやってくる。母も楽しみにしていると思うので、ぼくも借りに行くのが楽しみだ。

 

 

 

『殲滅特区の静寂』

我々の世界で発生する大地震や大型台風とおそらく同じ程度に巨大怪獣が襲来する設定のミステリー小説。

日本が最初に怪獣災害に見舞われたのが1954年。映画『ゴジラ』の公開年だなぁ、とすぐに思い浮かぶ読者は、怪獣作品への著者の敬愛を読み取って楽しく読めることと思う。

短編が3本収録されていて、いずれもシリアスな雰囲気の作品。怪獣描写の緊迫感は、まさに怪獣映画を見ているかのようだった。

ただ、発生した殺人事件を解決するっていうミステリー部分と来襲する怪獣の設定と主人公のお仕事描写と、もっと絡み合っても良かったというか、それぞれがバラバラな感じが否めないというか...どっちつかずな印象が残ったな。

ちなみに、ぼくは紙の書籍で読んだんだけど、怪獣好きが多そうな50〜60代の年齢層の眼に優しい大きめフォントでした。あと表紙のイラストがかっこいいです。

 

 

母は『北条政子』を読んだ

母は今野敏の『隠蔽捜査』シリーズを順番に読んでいたが、『清明』まで読み終えたところで、図書館の予約まちに入ってしまった。『探花』が読めるのは2,3ヶ月先になりそうだ。

 

新聞に掲載された永井路子さんの追悼記事を読んで、母が図書館から借りてくれと言ったのは『北条政子』。調べてみると、永井路子歴史小説全集に所収されているので借りてきた。

全集なのでフォントサイズが異様に小さかったらどうしようかと心配だったが、若干小さめながらもまぁ許容範囲でしょう。

永井路子歴史小説全集は1994から95年にかけて出版されているのですが、紙面は一段に配置されているし「読むための全集」って感じがする。

 

誰のとは言わないが、分厚く大きく二段組の全集は、読ませる気あるのかって思いますよね……。

 

北条政子』を3週間ほどで読み終えた母の感想は、「600ページもあってなかなか読み応えがあった。大活字本に慣れてしまうとやっぱり文字が小さく感じる」と言っていました。

母の次のリクエストは永井路子歴史小説全集8。『北条政子』と同じく、鎌倉時代を描いた作品が4篇収められているみたい。

ぼくは大河ドラマの『鎌倉殿の13人』を毎週震えながら見ていたので、鎌倉時代=暴力と政略のイメージがすっかり染み込んでしまい、そんな時代を小説で読む母はすごいなと思っている。

 

 

母は『自白』を読んだ

そういえば、母は先月81歳の誕生日を迎えた。

近くのイタリアンレストランで家族で食事をし、いい雰囲気だったけれど、ぼくはコップを倒して飲み物をこぼし、服を濡らすというドジをした。

ブログタイトルは相変わらず母(80)でいこうと思います。

 

目下、今野敏の『隠蔽捜査シリーズ』を読み進めている母だが、一週間で2冊というハイペース。人気シリーズなので既刊も貸出中ということもままある。そういうときは、他の本を借りてきている。

先日借りたのは乃南アサの『自白』だったが、これは母には少し合わなかったようだ。

 

 

 

ぼくは乃南アサの音道貴子ものが好きだったんだけど、図書館では閉架書庫に入っているらしくて、どおりで書棚に見つからないわけだ。

借りようかなと思ったけれど、古い本なのでフォントが小さいかもしれない。

母の目には辛い気がする。

 

『隠蔽捜査シリーズ』を予約まちしている間には、別の今野作品を借りてこようと思います。

『女帝 小池百合子』

ぼくが年末年始に読んでいたのは、石井妙子『女帝 小池百合子』。

 

同じ著者の『魂を撮ろう』が面白かったこともあるので読んでみたけど、著書や事実から追いかけるオーソドックスなノンフィクションの手法をとりながら、いつまで経っても小池百合子の実像が掴めなくて、寒気立つ内容だなぁと思いました。

取材の過程で、100人以上の関係者から証言を得たのだそうだけど、何人もが小池のことを「嘘つき」って言っているし、小池自身も過去の事実を「知りません」「言ってません」と取り消そうとしたり改ざんする動きを見せているんですよね。

もっとも特徴的で広く知られているのは『カイロ大学卒業』の真偽だけど、本書の「終章小池百合子という深淵」が畳み掛けるようですごかったな。厚くて黒い壁に閉ざされてしまうんだよね。

ミステリー小説として読むならありきたりな展開ながらも面白かったで済むんだけど、これノンフィクションなんだよな、って思うと内容に不満を感じてしまうなぁ。

 

全編が小池に対する批判で染まっているのは、ノンフィクション好きとしては辛かった。もともと小池に興味がなかった著者が、1冊の本を上梓するだけのボリュームや熱量を出すために、批判がちになるのは理解できるが、ネガティブな証言ばかり取り上げていて暴露本と大差なく感じてしまう。

さらには、小池の実像に迫るため、側近の不可解な異動や同居男性の謎めいた不動産取引まで書いておきながら、顛末を追いかけきれてないのも、「なんでこのエピソード書いた?」と思ってしまったねぇ。

もしかして、そっち方面も闇が深かったから、せめてヒントだけでも出しておこうって感じなのかな。

 

そういう不満もあるせいか、内容にフィクションが混じっているような印象が残ってしまった本でした。

でもこれだけ小池を嘘つきとか物語を演出しているとか連呼していたその内容がフィクション混じりだったら、それは著者への信頼を無くすでしょうし、虚飾は無いと思いたい……。

 

母は今野敏にハマっている

2023年になりました。

ブログを書くのにずいぶん間が空いてしまいましたが、のんびりやっていこうと思います。今年も良い年になりますように!

 

さて、最近の母は、今野敏にハマっています。

母は最初に『確証』を読んで、「読み終わったあと、爽やかな感じがする」と言っていました。

ぼくは読んだことがなかった作家さんなので、ネットで検索してみると、「読後の爽快感・ハッピーエンド」にこだわっておられるとか。

読者を元気づけたいという著者の狙いは、間違いなく母に通じていますし、母も安心して読めるだろうなと思います。

 

 

その後、『精鋭』『ヘッドライン』『隠蔽捜査』と近くの図書館に所蔵されていた大活字本シリーズを読み漁り、今は『隠蔽捜査シリーズ2 果断』を予約して待っています。

 

この勢いで図書館所蔵の今野敏を読破してしまうんじゃないかな…😁

母は『福袋』を読んだ

図書館の大活字コーナーを眺めていると、角田光代の『福袋』が置いてあったので、母用に手にした。

この本はいつもの埼玉福祉会が発行している大活字本シリーズではなく、ちがう出版社が出している大活字文庫だった。大活字にもいろいろあるんですね。

大活字文庫は、大活字本シリーズよりもフォントサイズが大きくゴシック体だった。読みやすさで言えば大活字本シリーズに分があると思われるが、大活字文庫は西村京太郎の十津川警部シリーズなんかも出しているし、ラインナップが幅広い気がする。

 

『福袋』は短編連作小説で、母は一週間もしないで読み終わっていた。

「これは考えさせるテーマやストーリーではなかった」と言っていたので、あんまり好みではなかったらしい。

『福袋』の巻末に、同じく大活字文庫から出ている本の広告が載っていたので、母はその中から読みたい本をメモしてぼくに渡した。

地元の図書館の蔵書検索してみると、リストの1つがヒットした。

童門冬二の『幕末の尼将軍-篤姫』である。

 

大活字本シリーズも大活字文庫も、読者層を反映しているのか歴史小説や時代小説が多く出版されているようですね。